「近所に住む外国人女性に、いつも怒られていた子供時代。ある夜、家に包丁を持った人が来て...」(大阪府・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Fさん(大阪府・50代女性)
ある夜、Fさんが住んでいた家の玄関のガラス戸が割られた。外にいたのは、包丁を持った女性だった。
当時小学4年生だったFさんは、2歳下の弟を連れて近所の外国人女性の家に逃げ込んだという。

<Fさんの体験談>
今から40年前、私は小学4年生でした。当時、近所にはWさんという女性が住んでいました。
中国か韓国から来た人で、私と2歳下の弟は悪ふざけをしてはその人に「マタ、アンナコトシトルワ」と怒られていました。そのたびに私たちは笑い、あっかんべーをしてはまた悪ふざけするような日々でした。
母からの電話「今から変な人が家に行く」
そのころ、私たちの家庭環境は良いものではありませんでした。一人で私たちを育てていた母は男癖が悪く、あまり家に帰ってきません。いつも小銭に机を置いてどこかへ行ってしまうので、近所の人にも心配されていました。
そんなある日、母が夜中に電話をかけてきてこう言ったのです。
「今から変な人が家に行くけど出るなよ」
「変な人が来るなら帰って来てよ」と言いましたがそのまま電話は切られました。

数十分後、玄関に一人のおばさんが来ました。その人は戸の窓ガラスを割って「出てこい!居てるんやろ!」と入ってこようとしています。
その手には包丁が握られていました。
翌朝、家の前には母と...
私は慌てて寝ていた弟を起こして家の裏から逃げ、気付けばいつも怒られていたWさんの家に行っていました。家に怖い人が来たから匿ってほしいと伝えると、Wさんは
「ココニイナサイ」
と言って私と弟の背中を擦りながら、そのまま朝まで一緒に居てくれたのでした。

眠れないまま朝を迎えると、Wさんが家の様子を見に行ってくれました。
「モウイナイカラダイジョウブヨ」と教えてもらい、私たちはいったん帰宅。学校へ行く用意をして、今度は友達の家に行きました。
そして、登校しているときのことです。家の前に母と、夜中のおばさんがいました。
子供ながらに母が不倫をしていたのだろうと思った私は、目を合わさず下を向いて学校に行ったことを覚えています。あの時、いつも怒られてたWさんに助けてもらえなかったら、子供の私たちはどうなっていただろう。時々、弟とそんな話をします。
Wさんにお礼を言いたかった
その後、私たちは施設に預けられることになり、Wさんとはそれでお別れになりました。高校生になった時に1度、Wさんのもとを訪ねましたが、すでにいなくなっていて......。
助けてもらったお礼も言えないままになっているのが、ずっと心残りです。

Wさん。私達に姉弟にはいろいろありましたが、あなたのおかげで幸せになり、生きています。
あの時は本当にありがとうございました。
そして、Wさんのご家族の方がもしご覧になっていたら、お母様はとても優しく自分の子供のように私達を見守ってくれた方だったことを伝えたいです。
これからも感謝を忘れず、生きていきます。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
J タウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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