どうしてこんなことに...? 名古屋のマンションの壁に残る「家の幽霊」がこちら
骨組みだけが残っている建物や、壁全体がツタや植物で覆われてしまっている建物......いわゆる「廃墟」と聞くと、なんとなく街はずれや森の中にあるイメージを抱く人も多いだろう。
しかし、大都市の中にいても廃墟やその痕跡を見ることができるようだ。その一例が、こちらだ。
写真では、とあるマンションの手前に一件の廃墟が立っているように見える。壁は所々がひび割れていて、汚れもひどい。まさしく廃墟といった風情だ。
だが、この建物をストリートビューで見てみると......。
実はこちら、かつてマンションの隣にあった建物の痕が、マンションの壁面にくっきり残ってしまっているのだ。あまりにもぴったり接しすぎていたためか、このような状態になってしまったらしい。
この不思議な「廃墟」の写真に、ツイッター上では、
「ゲームのバグみたい」
「騙し絵みたいになってる(笑)」
「バブル初期に無理矢理入れ込んだ建物ですかね......」
「これはこれで残しておいて欲しいが、住民は見たらこんなところに住んでいて大丈夫かと不安になる逸品」
といった声が寄せられている。
まるで「家の幽霊」だ
話題になっているのは、廃墟を中心に撮影している写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが2021年4月19日に投稿した写真。Jタウンネット記者は20日、本人に詳しい話を聞いた。
toshiboさんによるとマンションの壁面に残った「廃墟」の写真は投稿の前日である18日、愛知県名古屋市に滞在していた際に撮影したもの。
「毎年参加している『変わる廃墟展』へ在廊する為に愛知県に滞在していたのですが、その前日の17日にセブン-イレブン(名古屋中村区役所駅前店)へ買い出しへ行った際に、そのコンビニの向かいで発見しました。発見時は夜中だった為、翌日の早朝に再度訪れ、撮影しました」
と経緯を説明した。
「普段、『廃墟の壁』をテーマに写真を撮っているのですが、壁に廃墟がくっついているパターンは初めて見たので驚愕しました」(toshiboさん)
このマンションは、中村区役所駅(名古屋市営地下鉄)のほど近くにある。複数の住宅情報サイトによると、1964年に建てられたようだ。
Googleストリートビューでこのあたりの過去の様子を見てみると、11年12月から19年7月に撮影されたものに関しては、マンションにぴったり隣接する建物が映っている。家庭用品や園芸用品を扱う商店があったようだが、どの時期でもシャッターが下りていた。
また、マンションは19年3月の撮影時には足場とシートで覆われており、19年7月には壁面の色が変わっているので、壁の塗り替えなどを行ったようだ。
ぴったりくっついた家がある状態での塗り替えは、大変だったに違いない。
そして、20年10月撮影分では、隣の建物がなくなり、話題になった状態に。
このような状態になった背景について、toshiboさんは「googleストリートビューで過去の様子を確認したところ、やはり隣接して作られた為その様になったようです」と自身の見解を示しつつ、
「ただ、コメントでも届いていましたが、マンションが先か家が先かというのは分からず終い。写真をよく見て頂くと分かると思うのですが、一階の部分には塞がれた窓があったりするのですが、隣接しているのにその窓の必要性とは...?など、考え出すと奇妙な部分もあったりします。そういった部分も謎にして想像するのも面白いのではないかと思っております」
と述べた。
また、ツイッターでの反響に対して、
「毎回、ツイートには何かしら表現を入れ込むようにしていて、今回『家の幽霊』と入れて投稿したのですが、それを『いい表現』とコメントしてくれていた方がいたので、それがとても嬉しかったです。
また、当方、廃墟を中心に写真を撮る活動をしているのですが、訳あって解体されてしまった廃墟の跡地、つまり、『更地化』には悔しい思いをしてきた廃墟マニア達が山ほどいるので、その『更地』を伸ばす事ができた事は廃墟マニアにとって希望になったのではないかと誇らしい気持ちがあります」
とコメントしている。