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「養殖ブリ、28万匹余っています」 高知発のSOSツイートに反響→いったい何が?詳しい事情を聞いた

井上 慧果

井上 慧果

2020.11.18 06:00
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新型コロナウイルスの影響で、養殖のブリが28万匹余っています――

オンラインショップ「高知かわうそ市場」公式ツイッターのこんな投稿が話題になっている。

新型コロナウイルスの影響で、一年半、大切に育ててきたブリが、28万匹も余ってしまっているとのこと。28万匹のブリ......。想像もつかない量だ。

その一級品のブリたちを少しでも食卓に届けるために、通常価格のおよそ6割の値段で販売すると伝えている。2020年11月12日の投稿は、8万件を超えるリツイート、14万件を超える「いいね」が寄せられるなど大きな注目を集めている(数字は17日夜時点)。

それにしても、コロナの影響とはいえなぜ28万匹ものブリが余ってしまったのだろうか。

Jタウンネットは16日、「高知かわうそ市場」を運営するパンクチュアル(高知県須崎市)の守時健社長を取材した。

ブリ28万匹、なぜ販売?

高知県の「大月鰤」(画像は高知かわうそ市場より)
高知県の「大月鰤」(画像は高知かわうそ市場より)

今回、ブリの販売に至った経緯について、守時社長は「ブリを養殖している事業者の方から、ブリが余ってしまって困っていると聞き、始めました」と話す。

実は、高知かわうそ市場がこういった呼びかけをするのはこのブリで3回目。守時社長によれば

「5月に、カンパチを扱う事業者さんから余ってしまって困っている話を聞いてはじめたものです。同じくタイの事業者さんも困っているとのことで、9月にはタイも販売しました」

とのこと。

以前は須崎市役所の職員だったという守時社長は、有名な須崎市のゆるキャラ「しんじょう君」の生みの親でもあるという。元々は「高知かわうそ市場」も、しんじょう君の公式グッズを販売するECサイトだったそう。

しかし、コロナ禍で外食や観光の産業が落ち込み、困っているという声を生産者たちから聞き、急遽サイトを改装して、5月のカンパチをきっかけに、地元の特産品や工芸品などの販売を始めたのだという。

「販売するにあたって全国の皆さんに地元の名前も知ってもらい、ブリのブランド力も高めたいとの思いで、生産地の名前をつけました」

そんな思いで販売されているこの「大月鰤」。

例年であれば市場に卸され、高級料亭などで提供されているもので、スーパーなど一般的に店頭で並ぶことはない上等な品物だそう。しかし、今年はコロナの影響で、結果として28万匹のブリが余ってしまっている。

現在、食べごろに育っているブリは、このまま育ち続けると味が落ちて販売できなくなってしまい、また生け簀も圧迫してしまう。養殖もののため、生態系を壊してしまうことから海に放流することもできず、売れなければ廃棄することになってしまうそう。

「廃棄以外にも加工したり、飼料にしたりする方法もあるにはあるんですけど、長いこと丹精込めて育ててきたブリなのでせっかくならできるだけ美味しく食べていただきたいですよね」
食べごろは4キロぐらい(画像は高知かわうそ市場より提供)
食べごろは4キロぐらい(画像は高知かわうそ市場より提供)

この大月鰤は、餌にもとにかく気を使って育てているとのこと。守時社長によれば、

「脂がのっていて、すごく甘い。ぜひお刺身で食べてほしい」

という。

今回のツイートが注目を集めたこともあり、16日夜現在での注文数は約3万匹。

まだ28万匹には程遠いが、3万匹というのもなかなかの数だ。この数の発注を、高知かわうそ市場ではアルバイトの人員を増やすなどして、対応している。

「うちの利益は完全に度外視してやってますね。とにかく養殖業が大変で、潰れそうだったり、実際に潰れてしまっているところもあるという声をたくさん聞いているので、何とか支援できればとの思いです」

また、今回のツイートが反響を呼んだことについて、守時社長は

「本当に世の中、温かい人ばかりだなと思いました。困っているなら助けよう、と言ってくれる優しい世界でとても嬉しいです。高知県に縁ある有名人の方や、しんじょう君のファンの方も拡散してくださっていて、有難いです。ぜひこの機会に美味しい須崎の鰤を全国の方に食べて頂きたいですね」

としていた。

守時社長によれば、農林水産省の補助金制度を利用して送料無料で配達ができるのが12月末までという理由から、いったんはそこを区切りとして販売を行う予定だという。

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