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「間違えたら富士山越え」...? 山梨と静岡の2か所にある「富士山世界遺産センター」が完全に初見殺しだった

笹木 萌

笹木 萌

2020.10.15 17:00
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山梨と静岡にまたがる日本一高い山・富士山。ネット上では両県に対し「富士山を奪い合っている」「領土問題」といった声が寄せられ、ネタにされることも珍しくない。

しかし争い(?)は富士山だけにとどまらない――富士山だけでなく、富士山に関する展示・研究を行う「富士山世界遺産センター」も両県に存在すると、ツイッターでは話題になっている。

富士山世界遺産センターは2つある(C)Google
富士山世界遺産センターは2つある(C)Google

2013年にユネスコの世界文化遺産に登録された富士山。その後、両県には「山梨県立富士山世界遺産センター」(富士河口湖町)と「静岡県富士山世界遺産センター」(富士宮市)が、それぞれ設置されている。

話題のきっかけとなったのは、あるユーザーがツイートした、山梨を舞台にしたテレビアニメ「ゆるキャン△」のスタンプラリーに対する投稿だ。

スタンプラリーは20年11月7日~21年1月31日の期間に県内で実施され、そのラリースポットの1つに「富士山世界遺産センター」が入っている。

(画像は「ゆるキャン△」公式サイトより、編集部で一部加工)
(画像は「ゆるキャン△」公式サイトより、編集部で一部加工)

「ゆるキャン△」公式サイトの資料には「富士山世界遺産センター」としか書かれていないが、指しているのは山梨県立富士山世界遺産センターの方だ。

しかし「富士山世界遺産センター」は静岡にも存在。また、富士山を挟んで両県ほぼ対角線上に位置することから、

「あぶねー。気づかずに静岡行くとこだったw」
「初見殺しw」
「間違った方へ行ったら富士山を越えなければならないという地獄」
「領土問題が生んだ悲劇が起こらないことを祈るばかりですね............」

といった声が寄せられている。「富士山世界遺産センター」が2つあることを知らない場合、間違えて静岡の方に行ってしまう可能性もあるということで注目が集まっているようだ。

スタンプラリーに限らず、実際に間違える人はいるのだろうか...。Jタウンネットは10月9日、山梨県立富士山世界遺産センターと静岡県富士山世界遺産センターの担当者を取材した。

「静岡と間違えられる方はいます」

南館と北館で構成される山梨県立富士山世界遺産センターは2016年6月に開館。公式サイトに掲載されている紹介ムービーには「富士山の保全活動や調査研究、観光振興に寄与する施設」とある。

南館には和紙で作られた直径15メートル、高さ3メートルの富士山が設置されているのが特徴だ。

和紙で作られた富士山を展示(画像は山梨県立富士山世界遺産センター公式サイトより)
和紙で作られた富士山を展示(画像は山梨県立富士山世界遺産センター公式サイトより)

一方、北棟、西棟、展示棟から構成される静岡県富士山世界遺産センターは、17年12月に開館。富士宮市の公式サイトによると、こちらも富士山の保護・管理、調査研究、情報発信などを目的としている。

1階から5階には螺旋スロープが設置され、壁面に投影される富士山の登山道を見ながら擬似登山体験ができるのが特徴だ。

擬似登山体験ができる(画像は静岡県富士山世界遺産センター公式サイトより)
擬似登山体験ができる(画像は静岡県富士山世界遺産センター公式サイトより)

これまで、お互いがもう一方の富士山世界遺産センターと間違えられたことはあったのだろうか。

山梨県立富士山世界遺産センターの指定管理者となっている企業・ピカ(富士河口湖町)の担当者に聞いてみると、

「静岡の富士山世界遺産センターと間違えられる方はいますね。一般の方から連絡が来たりします」

電話の掛け間違いはあるが、来館することはほとんどないという。

また、静岡県富士山世界遺産センター企画総務課の担当者に聞くと、

「こちらもございます。『予約しましたが...』と電話がきても、こちらには予約が入っていなかったりします。その場合は、山梨のセンターを予約されたのかなと」

静岡の富士山世界遺産センターでは、団体(20名以上)の来館には事前予約が必要。予約先を間違えたのか、あるいは確認の際に電話番号を間違えたのか...。いずれにせよ、間違える人がいるというのは事実だ。

間違える要因は「Google検索」?

静岡の担当者は、両センターを間違えることに関して、このような話もしている。

「Googleの検索で『富士山世界遺産センター』って入れると、自分のいる場所に近い世界遺産センターがトップに出てくるようです。静岡にいる方が山梨の世界遺産センターに行きたいと思っても、一番近いのはこっち側のセンターなのでこちらが出てきたりします」

ネット上での検索に関しては、山梨の担当者も言及。「ネットで『富士山世界遺産センター』と検索すると、静岡の方が先に出てくることが多いようです」と話していた。

試しに、東京都千代田区に所在するJタウンネット編集部で「富士山世界遺産センター」と検索すると、Google、Yahoo!ともに静岡がトップに登場した。検索でトップに出てきた方に連絡した結果、想定と異なる施設だった...というのは十分あり得そうだ。

Jタウンネット編集部から検索すると静岡がトップに(C)Google
Jタウンネット編集部から検索すると静岡がトップに(C)Google

ここで最後の質問。両センターは、お互いに対してライバル意識はあるのだろうか。

山梨の担当者に聞いてみると、

「特にないと思いますね...その辺はお互い協力して、共有してやっていると思うので。南館は県の職員がガイドを担当しているので、県に聞いてみないと分かりませんが、特にそういったことは聞いてないですね」

また、静岡の担当者は、

「世界遺産登録された富士山の価値を後世に伝えていきましょうという目的でやっているので、いろいろなところで発信していくのはいいことだと思います。ライバルというより連携してやることが重要だと思います」

と話した。

ちなみに、山梨県立富士山世界遺産センターと静岡県富士山世界遺産センターの距離は車で1時間ほど。みなさん、くれぐれもお間違いなきよう。

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