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まるで「神マスク」...神事で配られた謎の紙に注目 その正体は?京都・八坂神社に聞いた

松葉 純一

松葉 純一

2020.04.14 06:00
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京都市東山区の八坂神社は2020年4月8日、新型コロナウイルスの早期終息を願って、特別神事「祇園御霊会」を行った。疫病退散を祈ったことが起源とされる祇園祭にちなんだ神事だ。

この神事で使用された紙製の覆いが、「神マスク」「かっこいい」といまツイッターで話題になっている。それがこちらだ。

八坂神社の「神マスク」 武藤詳大(@shintohmono)さんのツイートより
八坂神社の「神マスク」 武藤詳大(@shintohmono)さんのツイートより

なんだか達筆で文字が記されているが、いったい何と書かれているのか? またどんな意味があるのだろう? 

Jタウンネット編集部は八坂神社に取材した。

「蘇民将来子孫也」の意味は?

13日の取材に応じた八坂神社の担当者によると、この覆い紙は、奉書と呼ばれるコウゾで作った上質の和紙だという。書かれている文字は、「蘇民将来子孫也」。どういう意味なのか?

「八坂神社御祭神である『素戔嗚尊(スサノヲノミコト)』には、こんな伝承があります。スサノヲノミコトが旅の途中、兄の蘇民将来と弟の巨旦(こたん)将来に一夜の宿を頼んだそうです。弟の巨旦は裕福であるにもかかわらず断ったが、貧しい兄・蘇民は、粟で作った食事で粗末ながら手厚くもてなしたとのことです。

蘇民将来の真心を喜ばれたスサノヲノミコトは、疫病流行の際『蘇民将来子孫也』と書かれた護符を持つ者は、疫病より免れることができると約束されました。その故事にちなんで、『蘇民将来子孫也』の文字が護符に記されるようになったのです」

「蘇民将来子孫也」と書かれた奉書のマスクは、お参りをする人が自分の息を、神様やお供え物にかけないようにするためで、感染防止の効果があるわけではないということだ。

明治、大正期に感染症がまん延した時にも、八坂神社が「祇園御霊会」の神事を実施した記録があるという。

明治期は1877年の「コレラ」、大正期は1918年の「スペイン風邪」のときだ。「スペイン風邪」は1918年から1921年にかけて3回に分けて流行し、当時の日本の人口5500万人に対して、約2380万人が感染したとされている。

疫病が流行すると、八坂神社の出番となるようだ。

八坂神社本殿(sailkoさん撮影、Wikimedia Commonsより
八坂神社本殿(sailkoさん撮影、Wikimedia Commonsより

ツイッターには、こんな投稿もあった。

「蘇民将来子孫也」は八坂神社では大切なキーワードで、頒布されている多くの厄除けグッズなどにも記されているようだ。

新型コロナウイルスが心配な人は、八坂神社で疫病退散を祈願して、「蘇民将来子孫也」と書かれたお守りを手にすると、少しは安心できるかもしれない。しかし参拝するのに、「密集」「密接」「密閉」は避けていただきたいが......。

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