なぜ鹿児島の黒豚は「歩く野菜」と呼ばれるのか 「薩摩の謎理論」の歴史を調べてみた
意外な歴史があった
Jタウンネット編集部の質問に答えてくれたのは、黒かつ亭の担当者だった。
「歩く野菜」というキャッチコピーは、いつ頃、どんな意図で開発されたか? と聞いてみた。
「今から約13年前頃に楽天市場に出店した際に、ページを作った当時のスタッフが、インターネットに載っていた情報を引用したものだそうです」と担当者。「当時のスタッフがいないので、よく分りません」と苦笑しながら、答えてくれた。
13年前のスタッフがどんな情報を引用したのかも、分からないらしい。
「歩く野菜」というキャッチコピーが、いまツイッターで話題になっていることに対しては、「電話でお聞きするまで、まったく知らなかったので、ビックリしてます。なぜ話題になってるのか、むしろこちらが知りたいですね」という回答だった。
そこでJタウンネット編集部は、「歩く野菜」という言葉について、もう少し調べてみた。
1999年に発行された「かごしま黒豚物語」(南日本新聞)によると、明治生まれの郷土料理研究家・故石神千代乃さんの「さつま料理歳時記」の一節が紹介されている。
「鹿児島はごく最近まで仏教的な理由で労役に飼う牛、馬は食べてはいけないという習慣があったが、鶏と豚は『歩く野菜』といわれてきたほど自家飼いを持ち、祝事や行事の料理につぶした」
つまり鹿児島では、鶏と豚は「歩く野菜」と言われ、肉食が禁じられていた時代でも食べられてきたのだ。「歩く野菜」は、相当に古くから使用されてきたキャッチコピーというわけだ。
どのくらい古いかというと、戦国時代、島津氏は豚を生きたまま兵糧として戦場に運んでいたという説もあるという。