名古屋市が「スクールカウンセラー」配置に力を入れる理由
[ドデスカ!-名古屋テレビ]2015年3月3日放送で、子どもをトラブルから守るための名古屋市の対策を紹介していました。
手厚いスクールカウンセラー設置
川崎の中一殺害事件を受けて、名古屋の町でも「ひとごととは思えない」、「誰かが気付けたのではないか」との声が多く聞かれました。
名古屋市ではこのような事件を未然に防ぐために、全国初となるある取り組みをしています。
名古屋市では10年前から市内の全ての中学校・高校と一部の小学校で、週に一度臨床心理士を派遣し生徒や保護者の悩みに対して、カウンセリングを行うスクールカウンセラーを配置しています。
さらに去年の4月からは市内の11の中学校に、毎日勤務するスクールカウンセラーを配置しました。この取り組みは全国でも名古屋だけとなっています。
その背景にはおととし名古屋市南区で、中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺したことがありました。
お手本はアメリカの支援制度
名古屋市教育委員会事務局の樋口敦さんによれば「市内でも重篤な案件もあり、市長ともども心を悩ませていました。そんな時市長がアメリカでの支援制度を見つけ、取り入れることにしました。アメリカではカウンセラーが日常的に子どもや学校の状態を見ており、いざ何か起こってもすぐに対応できる制度になっていまして、日本との違いをものすごく感じました」とのことでした。
また臨床心理士の他にも社会福祉士や元警察官など、1つの中学校に4人の専門家が配置され、生徒や保護者の相談にのることになっています。
昨年の4月から11の中学校の合計で、約1800件の相談があり、そのうちの生徒の85%が「相談して気が楽になった」と答えているとのこと。
実際に千種区の振甫中学校でスクールカウンセラーとして、毎日勤務されている高原晋一さんにもお話しを伺うと「子どもの中には人間関係をつくりづらい子もいて、いじめなどのことを他の人に言えないことも多い。カウンセラーのアプローチは「なんでもいいから話してごらん」と接していきますので、気軽に相談室に遊びにきてもらうことが大切です。毎日学校にいることでその雰囲気を作り、子どたちの小さな変化を見逃さないようにしたい」とおっしゃっていました。
11校は生徒の数や、専用の相談室を設置できるかどうかなどを基準に、選ばれています。もちろん11校の中学校だけではなく、近隣の学校の方の相談にも応じてくれるとのことでした。
匿名でも可能な相談窓口も
名古屋市熱田区の「ハートフレンドなごや」では、幼児から高校生までの子どもに関するあらゆる相談を受け付けています。
電話・来所・メール・訪問相談の4種類があり、昨年は4つの相談を合わせて1万件弱の相談があったそうです。
保護者からはもちろん、子ども自身の相談や「あの子がいじめられているのではないか」といった周りの人からの相談も可能とのこと。
電話相談はでの相談も可能で、もちろん相談した内容他の人に知られることはありませんので、安心して相談できるとのことです。(ライター:神谷祐美)