どっちが本家？ 杉並区VS練馬区「アニメのまち」紛争

東京都杉並区にある西武新宿線上井草駅は、各駅しかとまらないローカル臭漂う駅。ところが改札を一歩出ると、2008年に設置されたガンダムモニュメントが目に飛び込んでくる。駅の発車メロディは「機動戦士ガンダム」の主題歌だ。

...その理由は２つあります。まず日本のアニメ製作が本格的に始まった≪ジャパンアニメーション発祥の地≫であること。そしてアニメ産業に関わる会社が現在一番多く集まっているまちだからです。

練馬区内には松本零士さん、ちばてつやさん、高橋留美子さんをはじめとするマンガ家が大勢いらっしゃいます。

確かにアニメ黎明期をリードした故・手塚治虫さんの「虫プロダクション」は同区富士見台にあり、ドラえもんの舞台も練馬だった。

練馬はアニメ関連の企業が多く立地する区だ。東京メトロや都営地下鉄、西武線の各駅の改札付近に設置されている駅周辺パネルには、アニメのキャラクターが使われている。

イベントで押しまくる練馬、杉並はどう出る？

それだけではない。2014年5月18日には、西武池袋線大泉学園駅北口周辺で「アニメプロジェクトin大泉2014」が開催される。

松本零士さんとちばてつやさんトークショーや、少女たちに人気のアニメ「ハピネスチャージ！プリキュア」ショー／ダンス教室、大泉が舞台の「ロボットガールズZ」ミニライブ／トークショーなどが行われる予定だ。

さらに毎年11月は「練馬アニメカーニバル」という同様の催しがとしまえんで開かれる。

ご当地ナンバーでも「因縁」の両地域

杉並vs練馬といえば自動車のご当地ナンバー問題も有名だ。「杉並は、戦前の首相にして貴族筆頭だった近衛文麿別宅「荻外荘」もある由緒正しい場所。なのに練馬ナンバーなんて...」と主張したかどうかは定かではないが、2014年中にも杉並ナンバーの発行が決まっている。

もっとも、サンライズのある上井草は、中央線から南の地域とは明らかに雰囲気が異なる。新宿線は東京を走る主要私鉄路線の中で1、2位を争うほどローカルチックといっていい（とくに駅設備）。貧乏な若者にとっては家賃の安い物件が多く、売れっ子になったマンガ家にとっても製作に集中できる静かな環境がある、という点が魅力に映ったではないか。これは池袋線も同じだ。

そう考えると、自治体の差というよりも西武線がアニメをもたらしたというべきかもしれない。