「水に落ちて衣服や体がずぶぬれになる」←山形県民なら、一言で表現できるらしい【標準語では説明できない方言】
地元では当たり前に使っていた言葉が実は方言だった、という経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。
しかも、その方言の意味を伝えようと思っても、標準語では表現できない...なんてこともあるだろう。
そんな「標準語では説明できない方言」は、日本各地に存在しているらしい。
Jタウンネットでは、そんな方言について情報を募集している。
今回は全国から届いている投稿メールの中から、「かぶだれくった」という方言を紹介する。
「かわびたり」が「かぶだれ」に
山形県に住む30代の読者から、編集部にこんなメールが届いた。
「『かぶだれくった (ドブにハマった)』
意味が限定される山形の方言です」
かぶだれくった。筆者(神奈川県出身)は、初めて聞く言葉だ。
もし会話の中でふと言われたとしても、何を言っているのか理解できないだろう。
この言葉について調べてみると、「日本方言辞典(小学館、ジャパンナレッジ版)」には
「かぶだれ」(山形県)
「かびだれ」(山形県東置賜郡)
「かぴたれ」(山形県西置賜郡・南置賜郡)
と掲載されている。語源は「川浸(かわびたり)」。
山形では「水に落ちて、着物や体がずぶぬれになること」という意味で使われているらしく、県内では「かーびたし」(西置賜郡・西田川郡)、「かびたれもち」(米沢市)という言い方もある。
また、同辞典によれば新潟県東蒲原郡では、この「かぶだれ」という言葉を「子どもが着物を汚すこと」として、東京都大島では「川浸」が「身繕いのだらしない、不活発なもの」としても使用されているとのことだ。どうやら地域によって意味が異なるらしい。
ツイッターで「かぶだれくった」を調べてみると、見つかったのは山形県民と思われるユーザーたちの、以下のような投稿だ。
「かぶだれくったは雨のせいでびしゃびしゃに濡れた状態になったって意味」
「『田んぼに落ちて泥で汚れてしまいました』て言うよりも『田でかぶだれくった』て言ったほうが迅速にかつ的確に状況を伝えられるだろ?」
「側溝に落ちただけなら『側溝に落ちた』っていうんだけど、側溝に水が流れてたりして靴とかズボンがビシャビシャになると『かぶだれくった』って言うんだ」
「置賜弁で雨などで頭からずぶ濡れの状態を『かぶだれくった』といいます」
辞書には川浸というだけあって「水に落ちて」と説明されているが、地元では雨に濡れたときでも使用しているようだった。
また、他の山形県民と思われるユーザーによる
「『どぶとか側溝に落ちて靴や衣服が濡れた状態』を『かぶだれくった』以外のどんな言葉で言い表すんですか!?」
という投稿も。つくづく、地元民にとっては馴染み深い言葉らしい。
その状態、標準語では「どぶとか側溝に落ちて靴や衣服が濡れた」とそのまま説明するよりほかにない。そもそも、地域によってはそんな状態になることもあまりない気はするが......。
ドブにはまった経験があるかないかも含め、標準語にするのは、なかなか難しそうな方言である。
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