山の真ん中に巨大な一本筋現る 九州新幹線の災害対策に反響「勢い余ったバリカンみたい」「万里の長城かと」
2022年度の開業に向けて整備が進められている、九州新幹線・西九州ルート。実際に乗車できるのはまだ先だが、ツイッターではあるユーザーが捉えたこんな光景が話題を呼んでいる。
新幹線車両が通る線路を通すために、山がトンネルで貫かれている。その入り口の周りは、麓からほぼ山頂まで、細長い範囲で木がなくなり、丈夫そうな素材で覆われている。彫刻刀で木を削り取ったような、なかなか衝撃的な光景だ。
画像はツイッターユーザーの猫耳幼女のyasu(@Library_Yasu)さんが2020年7月25日に投稿したもの。撮影した場所は長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)郡東彼杵町だという。
猫耳幼女のyasuさんの投稿に対し、ツイッターでは、
「どこの万里の長城かと空見したぞ」
「勢いが余ったバリカンみたいになってますね」
「土砂崩れでトンネルが塞がれないようにしているのですね」
といった声が寄せられている。
「不安定な石が山頂まで広がっていた」
Jタウンネットは2020年8月18日、新幹線建設を行う鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、鉄道・運輸機構)九州局総務課の担当者に詳しい話を聞いた。
担当者によれば、投稿されたトンネルは東彼杵町にある「三ノ瀬トンネル」。工事は09年12月18日~18年9月17日の期間に行われ、すでに終了しているという。
なぜ山がこのような姿になったのか。担当者はその理由を、次のように話している。
「新幹線のトンネル坑口では災害防止のため斜面対策を行っています。規模については地形や地質の状況によって異なります。
三ノ瀬トンネルに関しては、現地測量や調査の結果、不安定な石が山頂まで広がっていることが分かりましたので、現在の大規模なものになりました」
斜面対策とは、地すべり・崩落といった斜面での災害を防ぐために行うもの。モルタル・コンクリートで斜面を固める、押え盛土を施行するといった方法がとられる。
担当者によれば、当初、斜面対策の範囲は420平方メートルになる予定だった。しかしその後の測量・調査により対策範囲は7200平方メートルに拡大したという。
鉄道・運輸機構の「九州新幹線(武雄温泉・長崎間)事業に関する再評価報告書」(19年3月)には追加の斜面対策に関する記載があり、
「現地測量・調査の結果、坑口上部に不安定な岩塊・転石が山頂まで広がっていることが 判明した。そのため、斜面対策範囲の追加、不安定な岩塊・転石・浮石の撤去を行った」
と説明されている。