金属なのに、自由に形を変えられるほど柔らかい...不思議なお皿「すずがみ」が凄い!
「すずがみ」をご存じだろうか。錫100パーセントの薄い板で、柔らかく、自由に折り曲げて形を変えて、皿として使用できる。 正方形の角を丸くカーブさせて、料理やお菓子を置く。 前菜をのせてもいいし、洋菓子や和菓子をのせてもいい。フォークやナイフも置ける。何をのせても自由。その日の気分で、形を自由に変えて楽しめる。
まるで紙のように柔らかいから、「すずがみ」と名付けられた。形を変えても、丸い棒を使って延ばせば、元通りのまっすぐな板に戻る。
錫は柔らかい金属で、通常は銅など他の金属を混ぜ、硬くしてから加工するのが一般的という。100パーセント錫の状態で使用することは極めて稀だ。 しかし錫100パーセントでも、叩くと強くなる。叩いてモノを作り上げる、鍛金という伝統技術があったから、この「すずがみ」が生まれた。
開発したのは、富山県高岡市の島谷好徳さん。寺院で使われる仏具「おりん」を代々製作してきたシマタニ昇龍工房の四代目である。「おりん」とは、お寺でお坊さんがお経を唱えるときにチーンと叩く、大きなお椀のようなもの。東京の大学を卒業して家業を継ぐため高岡に戻り、「おりん」製作の修業をしていた島谷さんは、「おりん」を作る際に駆使する技術、鍛金を応用して、何か新しいものができないかを考えていたという。鍛金は叩く作業だけで、1枚の金属板の形を絞り上げ、丸みを整え、音色の調節まで行うという高度な技術だ。
高岡市は江戸時代から続く伝統工芸の盛んな土地で、現在も若手の作家がしのぎを削っている。4年ほど前、所属する伝統産業青年会が催すギフトショーへの出品作の案を練っていた時、ひらめいたのが、この「すずがみ」のアイデアだった。
錫100パーセントの板も叩くことで、強度が増す。形を自由に変えても、丸い棒で延ばせば元に戻り、また食器として使える。何度も試作を重ねて、可能性を探っていった。約2年の試行錯誤の結果、「すずがみ」が生まれた。
金槌の槌目を変えると、四季を彩る日本の自然のような風合いも感じられる。「かざはな」「さみだれ」「あられ」と3種類の槌目が選べる。大きさも4種類が用意されている。11センチ×11センチ、13センチ×13センチは取り皿やデザート用としてちょうど良さそうだ。18センチ×18センチ、24センチ×24センチの大きな皿は前菜やサラダなどに良いかもしれない。「syouryu」というブランドで販売されている。
現在、各種通販サイトのほか、下記の店舗などでも取り扱われている。
三越銀座店 東京都中央区銀座4-6-16
大和香林坊店 石川県金沢市香林坊1-1-1
大和富山店 富山県富山市総曲輪3-8-6
大寺幸八郎商店 富山県高岡市金屋町6-9