断崖!ヒグマ!落石―日本一危険な神社「太田神社」参拝はほとんどSASUKE

2015年10月 4日 11:00

「エクストリーム参拝」って何だ!?

嘉吉年間(1441~43年)に創立された「太田神社」は、北海道久遠郡せたな町にある山岳霊場。地元住民には「太田さん」などと呼ばれ親しまれているが、同町の観光協会によれば「地元の人間は、ほとんど参拝することがありません」とのことだ。

ネット上では、太田神社を参る行為を「エクストリーム参拝」だと揶揄する記述もみられる。これは、BMXやモトクロスなど、離れ業を売りとするスポーツを「エクストリームスポーツ」と呼ぶことからきたものだ。要は、それだけ太田神社の参拝が危険だということだ。

太田神社は、どこにある?(アラツクさん撮影、wikimedia commonsより)
太田神社は、どこにある?(アラツクさん撮影、wikimedia commonsより)

上の画像にあるのは、山のふもとにある太田神社の拝殿である。その「本殿」は、奥に見える山の岩肌が露出しているところ、ちょうど上から2本目の電線がかかっている辺りにあるのだという。これを見るだけで、その過酷な参道の様子が少しうかがえる。

それでは、その過酷な行程を順番にご紹介しよう。

太田神社の鳥居をくぐると、最初にぶつかる関門が「急すぎる石段」だ。

階段が急すぎる(アラツクさん撮影、wikimedia commonsより)
階段が急すぎる(アラツクさん撮影、wikimedia commonsより)
「太田山神社」とあるのだが...(画像はせたな観光協会提供)
「太田山神社」とあるのだが...(画像はせたな観光協会提供)

鳥居をくぐるとすぐに直面する全139段の石段は、平均45度の斜度を持つ。最も急なところで、その角度は50度に達する。道路標識でよく見る「斜度」で計算すると、その角度は100%を超える。その事実を鑑みれば、この石段がいかに急なのか分かるだろう。もちろん、手すりだけでなく安全のためのロープが設置されている。

ちなみに、石碑には「太田山神社」と書かれているが、せたな観光協会は「正式名称は、確かに『太田神社』で間違いありません」と語る。この表記の差も、参拝者を混乱させるワナかのように思ってしまうのは、少々穿ちすぎだろうか。

草木の生い茂る山道(画像はせたな観光協会提供)
草木の生い茂る山道(画像はせたな観光協会提供)

ようやくの思いで階段を登りきると、以降は草木の生い茂る獣道にも似た山道や足場が続く。ここでは、ブヨやハチ、マムシなど危険な生物が多数生息している。ヒグマが出没するのもこの周辺なので、十分な対策や注意が必須である。山道の途中には仏像が置かれた大石や女人堂があるそうだ。

山道を抜けると、辺りの風景はゴツゴツとした岩場になってくる。このあたりから、道の傾斜が厳しくなり、足を踏み外しての落下や落石の危険性も高まるという。一部の箇所では、歩きやすいよう鉄の階段が設置されている。

落石の危険がある参道って...(画像はせたな観光協会提供)
落石の危険がある参道って...(画像はせたな観光協会提供)

岩場を進むと、最後の関門ともいわれる「北尋坊の崖」が見えてくる。絶壁という言葉が当てはまるような、高さ7メートルにも及ぶ岩壁である。参拝者は、設置された鉄輪とロープを使い、まるでロッククライミングのように壁に挑む。これを登り切ったところに、太田神社の本殿が建っているのだ。

SASUKEかよ!(画像はせたな観光協会提供)
SASUKEかよ!(画像はせたな観光協会提供)

ここまでの所要時間は、およそ70~100分。参拝というよりは、もう完全に「登山」に近い。それでは、過酷な参道を乗り越えた人だけが参拝できる、太田神社の本殿をご覧いただこう。

太田神社の本殿(画像はせたな観光協会提供)
太田神社の本殿(画像はせたな観光協会提供)

長く、険しい道のりを進んで来ただけあって、その達成感はひとしおだろう。感慨を込めた二礼二拍を終え、後ろを振り向くと――。

まさに「絶景」(画像はせたな観光協会提供)
まさに「絶景」(画像はせたな観光協会提供)
素晴らしい景色を、もう1枚(画像はせたな観光協会提供)
素晴らしい景色を、もう1枚(画像はせたな観光協会提供)

そこには、日本海や奥尻島が眼下に広がる「絶景」が広がっているのだ。この見事な風景を眺めるだけでも、本殿を目指す価値がありそうだ。

ちなみに、せたな観光協会では、「一人で行くのは不安だ」という人に向けて、太田神社の参拝ツアーを実施している。登山の専門家も同行するため、安全に「日本一危険な神社」を楽しめるツアーとなっている。

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