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「NINJA」は今、インバウンドの最前線!? 伊賀に外国人呼び込む「忍者パック」の旅

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.07.09 17:30
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手裏剣打ちに挑戦する外国人観光客の子どもたち(画像提供、すべて伊賀上野観光協会)
手裏剣打ちに挑戦する外国人観光客の子どもたち(画像提供、すべて伊賀上野観光協会)

三重県伊賀市といえば、「忍者の里」として名高い。江戸幕府に仕えた服部半蔵も伊賀をルーツとするとされている。伊賀忍者は、小説や演劇、映画、漫画、アニメなどにもしばしば登場し、日本人には広く知られている存在だ。

ところが最近は、いささか様子が違う。外国人訪日客、いわゆるインバウンドの客が急増しているのだ。同市にある伊賀流忍者博物館を訪れた外国人観光客は、2004年が約3600人だったが、2013年は約1万3600人、2014年は1万8000人を超えた。入館者の約1割が外国人だという。

同博物館の遠藤万里子館長は、「いちばん多いのは台湾、次にタイ、マレーシア、シンガポールと、東南アジアからの観光客が多いですね」と語る。アメリカ、フランス、ドイツといった欧米からの数も多い。中には「初めて聞く国名もあります」と遠藤館長。忍者のグローバルな人気に驚かされている。

伊賀鉄道・忍者列車の前で記念撮影、アジアからのグループ客
伊賀鉄道・忍者列車の前で記念撮影、アジアからのグループ客

インバウンド客急増に大きく貢献しているのが、忍者体験ツアー、通称「忍者パック」だ。このツアーは津市のホテル「美杉リゾート」と、伊賀上野観光協会と、伊賀市に本社を置くローカル線「伊賀鉄道」がコラボした、テーマ型の地域ツーリズムだ。

どんなツアーなのか?かんたんに紹介しよう。まずツアー客は前日、三重県東部にある美杉リゾートに宿泊。ここで密書を受け取る。温泉に入り、忍者鍋を味わう。翌朝、忍者の衣装に着替えて、バスで伊賀市へ移動する。途中、伊賀鉄道の忍者列車に乗り換え、約30分の列車旅を楽しみながら、市内中心部に向かう。

忍者ツアーの拠点となる伊賀流忍者博物館
忍者ツアーの拠点となる伊賀流忍者博物館

列車を降りたら、徒歩で伊賀流忍者博物館へ。もちろんツアー客は忍者衣装を身に着けたままだ。ここには忍者伝承館があり、貴重な資料が展示されている。手裏剣などの忍具400点以上が展示されている、忍術体験館もある。また忍者屋敷では、隠し戸や刀隠しなどのからくりの実演も......。同博物館には、英語と中国語を話せるスタッフがそれぞれ数名いて、解説を担当している。

的をめがけて、手裏剣打ちの体験もできる
的をめがけて、手裏剣打ちの体験もできる

同博物館の忍術ひろばでは、忍者ショーも行われる。刀や鎖鎌も使って、迫力満点の実演が繰り広げられる。このころには、ツアー客はすっかり忍者になりきっている。ショーの後は、手裏剣打ち体験にも挑戦。ひととおり体験が終わると、伊賀流忍者皆伝の巻物が配られる。

気分はすっかり忍者、東南アジアからのツアー客
気分はすっかり忍者、東南アジアからのツアー客

2015年7月4日には、フランス・パリの日本文化会館で、伊賀流忍者を紹介するセミナーが開催された。伊賀流忍者博物館の名誉館長であり、三重大学社会連携特任教授も務める川上仁一氏の講演が行われた。300席の会場は満員だったという。その講演に同行し、実演を披露した、忍者集団「黒党(くろんど)」の黒井宏光氏は、「大人の男性が多かったです。忍者に関心があるようで、けっこう詳しい人がいましたよ」と語る。

黒井氏は、ヨーロッパに於ける忍者の人気を肌で感じてきたようだ。忍者というコンテンツは、世界中で共感され、支持されているブランドであることを、改めて感じる伊賀の里の今である。

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