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他人とは「アヌビスヒヒ5頭分」の距離取って 専門的すぎて全然ピンと来ない動物園の案内が話題

笹木 萌

笹木 萌

2020.05.23 08:00
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緊急事態宣言が2020年5月14日に解除された広島。店舗や施設に対する休業要請の多くが解除され日常が戻りつつある。

広島市安佐動物公園も18日から一部施設を除いて営業を再開。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスの感染対策は引き続き行っていく。

園内ではその一環として、「ほかの人と距離をとってゆっくりお楽しみください」と題した、こんな看板を設置している。

2メートルなのか...(画像は広島市安佐動物公園提供)
2メートルなのか...(画像は広島市安佐動物公園提供)

「やっとハレム(群れ)を持ったブラックバックがお気に入りの雌にアピールをがんばる距離」

看板に登場するのは、シカのような角が特徴的なウシ科の動物・ブラックバックだ。

雄のブラックバックはブィブィと鳴きながら「何で、にげるんだよぉ~」とすがりつく。対して雌は「わかんないの?」と冷ややかだ。情けない雄の姿は人間の男女関係に通ずるものがあり、何だかいたたまれない気持ちになる。

なぜいきなりブラックバックの恋愛事情が...と不思議に思うかもしれないが、これは「2メートル」の目安。来園者に保ってほしいソーシャルディスタンス(社会的距離)を動物の知識、時にはユーモアを交えて掲示しているのだ。

広島市安佐動物公園の公式ツイッターでは、このような掲示を19日から複数回にわたって紹介。多くのリツイートやいいねを獲得し、反響を呼んでいる。

来園者は「自主的に間隔あけている」

Jタウンネットは22日、広島市安佐動物公園の企画広報係を取材した。

担当者によれば、これらの看板は営業を再開した18日から園内に設置。15パターンほどあるという。例えば、次のような具合だ。

「ウズラ13羽分」
「アヌビスヒヒ5頭分」
「メイ(マルミミゾウ)が両耳を広げた幅」
「自信過剰な若いブラックバックの雄に対するソーシャルディスタンス」

冒頭で紹介したものといい、ブラックバックの雄だけいじられ気味なのは気のせいだろうか。

様々なパターンが(画像は広島市安佐動物公園提供)
様々なパターンが(画像は広島市安佐動物公園提供)

看板は飼育員らがテンプレートを基に制作。なぜこのような掲示にしたのか、その理由を担当者に聞くと、

「営業を再開しましたが、たくさん来てくださいと言うのは難しい状況です。来ていただいた中でも密にならないようにしていただきたく、どうしたらうまく伝えられるか考えたところ、このような形になりました。楽しみながらソーシャルディスタンスを啓発できればと思います」

動物たちが示す「2メートル」は素人には正直全然ピンとこない。看板は知識を得ながら距離感を保つきっかけになりそうだ。

営業再開後の来園状況を聞くと、「平日にしては多く感じる」とのこと。それでも来園者同士が距離を保っている様子はあるといい、担当者は、

「近づいたらまずいな、という意識が定着している印象です。並んでいても詰める人は少なく、自主的に間隔をあけていると感じます」

と話している。

担当者は掲示が話題になったことについて、

「楽しんでいただきたいですが、まだ予断を許さない状況です。それでも感染対策をご理解いただき、園内をまわって(ソーシャルディスタンス等を)守っていただいていることを嬉しく思います」

としている。

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