世界各都市の高齢化対策は? 高齢大国ニッポンで国際会議が開催

2014年12月 3日 18:40

「日本は課題先進国で、未来に対する実験室だ」(OECD地域開発局長)

当日配布されたデータを見ると、日本は他国と比べ大都市圏に人口が集中しているため(図1)、今後の高齢化問題は都市圏が対象となる。と同時に他国より早く高齢者の減少局面に入るため、高齢者のみならず全世代の減少を見据えた、より長期的な課題解決を模索する必要がある(図2)。ただ、世界的に見ても都市別の高齢化進行率はまちまちで(図3)、一都市での成功例に汎用性があるとは必ずしも言えない。

今回の国際ラウンドテーブルは、「都市の有効策は各都市によって違う」ことを踏まえ、先進的に取り組む各都市の行政・民間を招き、事例の共有や共通要素の見出しを行うことが目的だ。議長のOECD地域開発局長ロルフ・アルター氏がオープニングスピーチで口にした「日本は課題先進国で、未来に対する実験室だ」という言葉に裏打ちされるように、海外の事例に加えて日本の先進的な都市(横浜市、京都市、豊岡市、富山市など)の取り組みが多く紹介され、その先進性に海外の参加者から活発な質疑がなされた場にもなった。

【図1】当日の会議内配布資料より(出典:富山市)
【図1】当日の会議内配布資料より(出典:富山市)

【図2】当日の会議内配布資料より(出典:富山市)
【図2】当日の会議内配布資料より(出典:富山市)

【図3】当日の会議内配布資料より(出典:富山市)
【図3】当日の会議内配布資料より(出典:富山市)

会議は3つのセッションに分けて進行した。日本でも活発な議論が待たれるセッション2・3について簡単にご紹介したい。セッション2では「高齢社会において、都市はどのようにレジリエントな社会経済づくりに貢献できるか」がテーマ。

(1)高齢者が暮らしやすい都市は、全ての世代において質の高い生活を提供する都市である
(2)公共の交通機関(既存の交通資源)にサポートされたコンパクトな都市構造が、雇用や公共サービスへのアクセシビリティを高め活力ある都市を生む
(3)高齢者の健康づくりが高齢者の生産性・自立を促す重要なファクターだ
ということにフォーカスして議論された。特に、豊岡市や横浜市が推進する「歩く」都市づくりは有効な施策として注目を集めた。

セッション3は「今後の連携方策」と題し、地域社会・高齢者が主体のチームを結成すべきだと強調。地域社会がリーダーシップをとり、民間は地域社会のニーズを汲み取って新しいサービスや技術を開発、行政は長期的なビジョンをつくり地域住民に分かるように丁寧に説明し共有し支援する。このチームを活かすために、大都市では地域社会のサイズに応じて細かく政策を見直す必要が確認されたことが興味深い。サイズが小さくなるほど、高齢者は「助けられる人」から「役割を持つ一市民」として参加ができる。大きな行政の縦割の組織に「地域」を見させるのではなく、小さなサイズに合わせて政策を検討する、という発想が今回の議論の肝のように感じた。

この3つのセッションを通して感じたのは、実は日本の各都市の取り組みの先進性だ。富山市の公共交通機関を使った都市のコンパクト化、豊岡・横浜市の健康増進都市づくりなど、小さな街に合わせた細やかな政策が既に実行に移されフィードバックの期間に入っていることが、海外都市の注目を集めた。なかでも注目を集めた豊岡市の「健康」をキーワードに高齢者とともに経済生産性を向上した取り組みを、次に紹介したい。

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