リアルすぎてトーストに塗るレベル 本物のハチミツにしか見えないインクがおいしそう

2020年2月16日 08:00

みなさんはスーパーのハチミツ売り場に足を踏み入れたことはあるだろうか。

筆者はハチミツ売り場が好きだ。初めて行くスーパーでは真っ先にハチミツの品ぞろえを確認している。

ハチミツに力を入れているスーパーでは、色が薄いもの、まっ黄色のもの、濃い褐色のものなど、様々な種類のハチミツが棚に並んでいる。

そんな見ているだけでも楽しいハチミツを、インクで再現したという投稿が、2020年1月末にツイッターで注目を集めた。

ほんもののハチミツが入っているようだが、これは万年筆などに入れるインク。正真正銘の文房具だ。この「はちみついんく」にはアカシア・レンゲ・ボダイジュの3種類があり、それぞれ違う色だがどれも確かにハチミツの色だ。しかも、ハチミツの香りまでするという。

あまりの再現度の高さに投稿には、

「な、ななな、なにこれー!!!はちみつ!?かわいい!!!」
「メッチャ美味しそう!!てか、これマジでちっちゃい子は間違って食べてしまいそうにリアル...」
「これ本気でトースト塗ってしまうやつでしょ」

など驚きの反応が寄せられている。

うっかり食べちゃいそう......(写真は尚貴堂ツイッターより)
うっかり食べちゃいそう......(写真は尚貴堂ツイッターより)

はちみついんくは、文具メーカー・尚貴堂と万年筆用のインクを作るブランド・Tono&Limsがコラボして生まれたものだそう。Jタウンネット編集部では、はちみついんくに込められたこだわりを取材した。

透明の万年筆に入れて美しいインク

尚貴堂はCEOの大橋尚貴さんが商品開発、営業、事務等をすべて1人で行う文具メーカー。ギミックにこだわった革小物を中心に販売している。

以前からTono&Limsとコラボして、大橋さんが大好きな青緑色のインクのシリーズ「Clear Ocean」を作っていたが、たった1つだけ悩みがあったという。それは、インク自体に透明感がないこと。

「透明軸の万年筆は吸入したインクが外からも見えて楽しいのですが、私が好きな青緑色ではその魅力を最大限引き出すことができなかったんです。
一方で、赤~黄と言った暖色系のインクは透明感を持っている。そんな暖色系のインクを作りたいと思っていたところ、スーパーで買い物している私の目に入ってきたのが美しいはちみつでした。
こんな綺麗なはちみつで字が書けたら楽しいだろうなあと思ってしまったんです。
そんな、いくつかの思いつきや悩みが重なって、はちみついんくを生み出したいと思うまでに至りました」(大橋さん)

大橋さんがはちみついんくで目指したのは、インク自体の透明感。ボトルに入った状態、そして、どんな色のインクが入っているのか、どれくらいの量のインクが入っているのか一目でわかるスケルトンタイプの万年筆に入れた時に美しく見えるものにしたかったそう。

透明軸にはいったはちみついんくは、インクボトルに入っていた時とはまた別の美しさがある。まるで液体になった宝石のようだ。

透明軸の万年筆に入れたはちみついんく(写真は尚貴堂ツイッターより)
透明軸の万年筆に入れたはちみついんく(写真は尚貴堂ツイッターより)

はちみついんくはインクなので、当然のことながら筆記に用いることができる。どんな風に書けるのか大橋さんに聞いてみると、

「レンゲとボダイジュは山吹がかった黄色で可読性十分。
アカシアで買いた文字は正直読みにくいのですが、蛍光マーカーのように使用するのに向いていたりと使いどころはございます。
また、買いた文字が読みにくいという点は、他人に見られたく無いメモをする際に有効といった側面もあるため、職場の会議中や対面での打ち合わせ時などに向いているのでは無いでしょうか。実際私はそのようなシーンで使用することが多いです」

とのこと。そして、色だけでなく、香りもそれぞれ異なっている。

「当初はハチミツの香りがするだけでも面白いと思っていたのですが、制作を進めくださっていたTono & Lims様が3色3様の香りを提案してくださったんです。
とはいえ、実際の香りを再現したというわけではなく、それぞれ違う香りということを重視して作成してもらいました。おかげでより楽しいインクになったと思います」(大橋さん)

美しさと実用性の両立に苦心

一見インクには見えないような「はちみついんく」は、文房具としての実用性もしっかり持ち合わせていた。このインクを生産したTono&Limsのアカウントは以下のようにツイートしている。

どうやら完成まではかなりの苦労があったらしい。Jタウンネット編集部はTono&Limsのマーケティング担当者・Tonoさんにも話を聞いた。

「確か『ハチミツ色を作りたいんですけど』っていうのが(尚貴堂からの)第一声だったと思います。その時、手渡されたのが本当のハチミツだったんですよ。3種類、この色を作りたいんですってハチミツが来たんです。
色としては有りだろうなというか、面白いなとすごく思ったんですけど、やっぱり僕らってインクを作っているので、見た目も大事なんですけど、書いたときに読めないと意味がないなと思っていて。
ハチミツってすごい薄い色じゃないですか。だから、きっと普通に作ったら読めないだろうなって思ったんです。どうするんだろうなって思ったのが最初の、(提案を)受けた時の感想ですね」

とTonoさん。尚貴堂が最優先したかったのはインクの透明感だが、Tono&Limsが重要視したのはインクとしての実用性。その両立のために試作を繰り返したそうだ。

「(Tono&Limsは)ちゃんと書けて、見えることが必須だと思っていて、一方、やっぱり一緒にやってる尚貴堂さんが『見た目』を大事にするのも分からなくは無くて。
透明な軸に入れて綺麗っていうインクはなかなかないんですよね。そこを彼がやりたいっていうのもすごくわかったので、そこの二つを両立することに一番苦心しました」(Tonoさん)

はちみついんくで書くとこんな色(Tonoさん提供)
はちみついんくで書くとこんな色(Tonoさん提供)

こちらの写真は、スポンジを使って引いた線。左から3本ずつ「アカシア」「レンゲ」「ボダイジュ」の順だ。スポンジについたインク量が減っていくので、少しずつ薄くなっている。

「(書いてみると)一般的なインクよりは淡いというか薄い感じ。
瓶で見たのと似たような色を出せるように調合しています」(Tonoさん)

見た目、色、そして香り。様々なこだわりがつまったインクだが、Tonoさんにはひとつだけ心残りがあるそうだ。それは「粘度」だという。

「粘度。とろみ感。これはね、やりたかったんですけど、やると万年筆には使えなくなっちゃうんです。ここは将来何とかしたいと思っているんですけど。
やっぱりサラサラすぎるとハチミツチックじゃないかなという気がしているので、そこが次の課題です」

今の時点ですでにハチミツと見間違えそうなのに、とろみがついたらいよいよ見分けがつかなくなりそうだ......。

はちみついんくは尚貴堂が参加するイベントや、尚貴堂のネットショップで販売される予定。実物を見てみたいという方は、イベントに足を運んでみてはいかがだろう。

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