「何にでもよく合うオタフクお好みソースは、和菓子にも合うのか?」 異色コラボ実現した菓子店の苦闘
2015.01.21 11:00
お好み焼きは、誰もが認める広島のソウルフードの横綱だ。同県内のお好み焼き屋の8割が使っているといわれるのが「オタフクお好みソース」。特に地元ではお好み焼きに限らず、さまざまなメニューに使われるある種の万能調味料として知られる。
たっぷりの野菜・果実に約20種類の香辛料をブレンドしたお好みソースは、和菓子にも応用できるポテンシャルを持っている――そのことを証明する商品が2014年8月に誕生した。地元の平安堂梅坪(広島市西区)が開発した「ひろしま お好み焼もち」だ。
同社の竹内恒彦社長によると、オタフクソースの佐々木茂喜社長から直々に「お好みソースを使ったお菓子ができないか?」と提案を受けたことで開発が始まったという。
「2012年5月、弊社やオタフクソース株式会社など22社が加盟する広島食品工業団地協同組合(広島市西区商工センター)の定時総会が開催されたときのことでした。当時は2013年に『全国菓子大博覧会・広島』の開催を控えていたこともあり、『菓子博で大々的に売り出せないか?』とも。それはおもしろい、やらせていただきますと即答しました」
平安堂梅坪とオタフクソースのショールーム「WoodEggお好み焼館」は、道路を隔てた向かいにあり、いわばご近所さん。信頼のおける相手だからこそ佐々木社長も声をかけたに違いない。
とはいえ、菓子博で売り出すというスケジュールは現実的に困難。先に進行していた別プロジェクトがあったため、途中で開発を中断せざるを得なかったという。
「お好みソースには甘みがありますが、同時にカルダモンやペッパーなどの香料が思いのほか効いています。
開発当初はこのスパイシーさとチョコレートが合うのでは?と、チョコあんなどに煉りこんでいましたが、逆にチョコレートの味が勝ってしまったり、スパイスの後味だけが口に残って、おいしさにつながらなかったり。チョコにしろ小豆にしろ、お好みソースをあんに直接混ぜてしまうと、あんの味も、お好みソースの味も損なってしまうのです。
個性的で強い味わいの材料をまとめるには、素材それぞれの味が引き立つような製法が必要でした」
三重包あん機という特殊な機械を導入し、寒天でタレ状にしたお好みソースを白あんでくるみ、さらにもちもちの生地で包むことで、意図した風味を再現することができたそうだ。