大阪人の「ノリツッコミ」 他県人でもマネられるものなのか?
おかしなフリに一度は乗ったように見せかけながら、鋭く切り返す――。お笑い芸人でおなじみの「ノリツッコミ」は、大阪人以外にもできるのか。2013年10月3日の「秘密のケンミンSHOW」(日本テレビ系)では、そんな実験をしていた。
まずは「笑いの本場」大阪で、お手本を確認。街角の女性に「東京で流行ってる携帯持ってきてるので」と伊勢エビを差し出すと、
「海女さんどこですか? 潜ってる?」
と話すふりをした後、「って、これ伊勢エビやん!」と見事な切り返しを見せた。次に小学生の女の子に、マイク代わりに柄付きタワシを差し出すと、「私の将来の夢は動物病院の先生です...って、これタワシやんけ!」とこちらも大人顔負けの反応だ。
次に番組スタッフは東北に向かい、福島と山形で「東京と電話がつながってるので」と野菜のナスを差し出したが、大阪のような反応は見られなかった。
「あはっ、これは携帯なんですか。私は会津でこれを作ってるんです。畑にいっぱいなっているんですけど、東京の方には携帯に見えるんですね。変わってますね」
やはり東北の人は、純朴で真面目だ。今度はお土産屋の男性店員に「アンケート用紙に記入してください」と、ペンの代わりにアスパラを渡した。
「無理だわ、うん...いろいろ無理だわ。(ノリツッコミとか)そういうの出来ねぇわ。やっぱ恥ずかしいもん。俺にはできねぇ」
営業スマイルがさわやかな男性だったが、やはりノリツッコミはできなかった。
場所は変わって沖縄へ。牧志公設市場を歩く派手な服装の婦人に「うちわを持ってきたので、使っていただいてよろしいですか」とフライパンを渡したところ、
「あげちゃびよ(おどろいた)! これはフライパン。ゴーヤーチャンプルー作るの! あおいでも風こないさー。ヤマト(本土)ではうちわかも分からんけど、沖縄ではフ・ラ・イ・パ・ン」
ボケはなかったが、ツッコミは鋭かった。年配のおじいに伊勢エビを渡すと、「おいしそうな携帯電話ですなぁ。内地ではこんなのがあるわけ?」とちょいボケの反応。番組スタッフが「冗談です」というと「よろしいです、ハハ」と笑顔になった。
富山出身の柴田理恵は「優しい。話をつなごうとしてくれる」、岡山出身の次長課長は「地元なら『何じゃおら、戦争じゃ!』ってなる」と、沖縄人の明るさをほめた。
秋田出身の加藤夏希は「ノリツッコミはテレビで知っているけど、『自分にはできない』って恥ずかしいんですよ」と東北人の心情を代弁していた。
大阪出身のヒャダインは「われわれはノリツッコミを知らないと生きていけない」と語っていた。しかしネットには「面白い反応を編集しただけ」と冷ややかな声もあがっている。
「あんな街角インタビューしても、8割の大阪人は無視して通りすぎる」
「シャイでノリツッコミができない大阪府民は普通にいるから」
こういう放送の影響で「大阪出身ならなんか面白いことしゃべってみろ、って言われる」と困惑する人もいた。大阪人とはいえ、誰もがお笑い芸人並みのリアクションができるとは限らない。むやみにプレッシャーをかけない方がいいようだ。