「恋する人形は華宵少女の夢中」展

2019年11月 7日 10:00

   人間はいつも「人形」に恋をしています。ギリシャ神話に登場するキュプロス島の王ピグマリオンは、自らが彫り上げた象牙の女像に恋をします。この恋の病(ピグマリオニズム)を「人形愛」と訳したのは澁澤龍彦ですが、江戸川乱歩は『ひとでなしの恋』で、夜な夜な土蔵の二階で「身の丈三尺あまり、十歳ばかりの小児の大きさ」の浮き世人形と逢瀬を重ねる新婚の男の話を書いています。これらの恋は、人形を人間のように愛する肉体の恋と言えます。一方、近年来注目されている「球体関節人形」について言えば、それらは肉体のリアリティとは結びつかない存在です。肉体性よりもむしろ幻想性が重要視されていると言えるかもしれません。男性と人形は肉体で、少女と人形は幻想で結びつくようです。少女にとって人形が「最も身近な他者であり、時には分身でさえある」(飯沢耕太郎)とすれば、球体関節人形は肉体の生々しさではなく、少女の幻想(夢)の世界と結びつきやすいということも納得がいくでしょう。少女の夢は人形の夢であり、少女の恋は人形の恋なのです。 ここに華宵少女と人形の結びつきがうまれます。華宵少女には現実の肉体の生々しさはありません。むしろそれらを極力排除した人工性がその魅力でもあります。さらに少女の夢は単に淡く優しいものだけではなく、時に悲劇的であり残酷でもあり、それが妖艶さとエロスを生み出します。飯沢は「少女と人形は、誰も踏み込むことを許されていない、秘密の王国の二人だけの住人のようだ」と妄想しますが、まさに人形の恋は華宵少女の夢の中で増殖していくのです。

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会期

2019年10月5日(土) ~ 12月22日(日)

会場

高畠華宵大正ロマン館

所在地

〒791-0222 愛媛県東温市下林

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