「窓から新幹線の中を覗く私を、恐る恐る見つめ返してくる乗客たち。車内には幼い息子がたった一人で...」(神奈川県・年齢不明女性)
2022.08.29 08:00
「お兄ちゃんは、おトイレだよ」
慌てて改札をくぐり階段で新幹線ホームに駆け上がると、そこには二人が乗ってきた新幹線が停車していました。が、新幹線から降りたはずの二人がどこにも見えません。
指定席で、二人が乗車しているのはホームのずっと先、先頭車両です。人の流れに逆らいながら先頭車両まで走り二人を探すも見つからず、やがて発車のベルが鳴って、ドアが閉まっていきます。
その瞬間、娘がリュックを抱えて新幹線から飛び出してきました。
「ママー!」
そこで間一髪、ドアが閉まりました。私は娘を抱きしめながら「...お、お兄ちゃんは?」と聞いたのですが......。
「お兄ちゃんは、おトイレだよ。
窓からママが見えたから、私はリュック持って走って出たよ」
そんな娘の言葉を聞きながら、動き出す車両の中を呆然と覗くと、車内から複数の方々が私と同じようにびっくりした表情でこちらを恐る恐る見ています。娘の大声で何ごとかと思ったのでしょうか。
そして、長男を乗せた新幹線はそのまま走り去ってしまいました。