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"そば湯"で味わう出雲そば !  島根県出雲市の「釜揚げそば」

at home VOX

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2017.03.15 13:38
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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は島根県出雲市にやってきました。ここは、縁結びの神様として有名な出雲大社のある街。年間200万人を超える参拝客が全国各地から訪れます。

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この出雲市に古くから伝わるのが「出雲そば」。岩手県のわんこそば、長野県の戸隠そばと並ぶ“日本三大そば”の1つです。出雲そばの食べ方としてポピュラーなのは、3段の丸い器にそばを盛り、直接つゆをかけて食べる「割子そば」ですが、実はもう1つ、長年受け継がれてきた食べ方があるのです。それが「釜揚げそば」。その歴史は、割子そばよりも古いといわれています。今回は、江戸時代から続く出雲そばの名店「羽根屋本店」で歴史ある味わいを確かめてきました!

羽根屋本店は創業200年以上の老舗そば屋。大正天皇にそばを献上し、その味を高く評価されたことから「献上そば」の屋号をもち、伝統の味を守り続けています。

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案内してくれたのは取締役の石原健太郎さんです。

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それでは早速、釜揚げそばを注文してみましょう!

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出てきた器に入っていたのは、たっぷりのそばとつゆ…ではなく、ほんのりと白く濁ったお湯…? どのように食べるのでしょうか。

石原さん「器に入っているのはそば湯です。釜揚げそばは、湯がいたそばを水洗いせず、そのまま器に入れてそば湯を注ぎ、お客さまにお出しするんです。食べる時は、薬味を加えてつゆを入れ、少しずつ味を調整していくのですが、まずは何も加えずにそば本来の味わいを楽しんでみてください」

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口に含むと、そばの豊かな風味がふわっと広がり、鼻に抜けていきます。麺は少しざらついた歯触りで、かむほどにそば粉の滋味あふれる味わいが感じられます。しっかりとコシがあり喉越しもよく、するりと喉を滑り落ちたあとも口の中には芳醇(ほうじゅん)な余韻が広がります。そば好きにはたまらない逸品です!

石原さん「そばの香りと味わいが素晴らしいでしょう。出雲そばは、ひきぐるみと言って収穫したそばの実を黒い殻ごとひいて粉にします。だからこそ、野趣に富んだ味わいになるんですよ。うちでは出雲のそば粉をメインに使い、他県のそば粉を2種類ほどブレンドしています。この麺をそば湯ごと食べることでそばの風味がいっそう増すんです」

そば本来の味わいを十分に堪能したところで、次はつゆと薬味を加えて味わってみましょう。

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薬味を加えると、そばの香りと一緒にかつお節、のり、ねぎの香りが立ちのぼり始め、さらに食欲を掻き立てられます。つゆをかけると、だしとしょうゆの香りも加わり、思わずつばを飲みました…! たまらず、薬味とつゆをそばにしっかりと絡めて一気にすすります。うま味が凝縮されただしの奥深い味、そばの風味がそれぞれに引き立て合い、もみじおろしの辛味がアクセントになって舌を楽しませてくれます!

石原さん「うちのだしはかつお節だけで引いているのが特徴です。使用しているのは鹿児島産の本枯れ節。本枯れ節というのは、かつお節菌というカビの一種を人為的に発生させて天日干しを繰り返したもので、上品なうま味とまろやかな香りのだしが引けるんです。そのかつお節を中厚削りにして煮出すことで、濃く深い味わいのだしになります。そこに出雲産のしょうゆ、みりん、酒、きび砂糖などを加えてつゆを作っています」

また、釜揚げ用の麺は少し太めに切ることで食感も楽しめ、つゆも絡みやすくなるのだとか。

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長年、出雲大社の参拝客に親しまれてきた釜揚げそば。それは、〆に味わうのが一般的なそば湯をあえてそばと一緒にいただくことで、出雲そば本来の風味を格段に楽しむことのできる一杯でした。

■水が貴重だったからこそ生まれた釜揚げそば
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