茨城県と千葉県の県境にある「道の駅さかい」で幻の豚や地粉蕎麦を味わう!
全国の道の駅を巡る連載、今回は茨城県猿島郡境町にやってきました!
境町は茨城県と千葉県の県境、さらに利根川と江戸川の分岐点にあり、陸運が発達するまでは水運の要衝「河岸の街」として栄えました。また日光街道の宿場町として問屋や旅籠、商店が軒を連ね、最盛期には行商の人々でにぎわっていたそうです。
過去には利根川の氾濫によって幾度も水難に悩まされてきたそうですが、護岸整備などが進み、今では氾濫によって運ばれた肥沃な土のおかげで県内の中でも農業が盛んな地域となっています。
そんな境町にある「道の駅さかい」は、昨年で20周年を迎えました。
境町周辺が水運の要衝として栄えていたころに、荷物を一時貯蔵するために蔵が立ち並んでいたという地元の歴史を尊重しようと、道の駅さかいも白壁の蔵造り風の外観になっています。
大山さん「このスペースでは街を代表する名産品の1つ『さしま茶』と地元製菓会社のせんべいを中心に販売しています」
そう話してくれたのは、境町観光協会助役の大山孝夫さんです。
大山さん「さしま茶は境町を含め、近隣の3市2町で生産されている日本茶です。江戸初期に生産が始まったとされ、日本で初めて海外輸出されたお茶として歴史に名を残す由緒あるお茶です。最近では、若手の生産者が全国で賞を受けるなど、業界でも注目されています」
茶葉だけではなく、ドライブをしながら飲むのにぴったりなペットボトル入りのものも販売されていました。
また、地元製菓会社のせんべいは種類も豊富で、お茶との相性もぴったり。お茶とせんべいのセットでお土産として買って帰る人も多いそうです。
大山さん「道の駅さかいは、茨城県内4番目の道の駅としてオープンしました。2015年からリニューアルを重ね、今まで以上に地元の名産品を前面に押し出す売り場づくりを心がけています」
そんな施設は、大きな2つの建物で構成されています。その建物同士をつなぐスペースには、たくさんの野菜が並んでいました。
そこからさらに進むと、産直野菜の販売スペースになっています。茨城県といえば、さまざまな野菜で出荷量全国1位を誇る農業が盛んな県ですが、中でも境町は、レタスをはじめ野菜の栽培は県内でもトップクラス!!この日も棚にはびっしりとたくさんの新鮮な野菜が並んでいました。
大山さんのお話では、町ぐるみで農業を盛り上げようという活動もしていて、新しい品種や珍しい品種の作付けを農家の方に呼びかけているそうです。確かに売り場を見ると、珍しい野菜もいくつか並んでいますし、産直ならではの低価格で購入することができるのもうれしいですね。
産直売り場のさらに奥、建物の突き当たりまで進むと、飲食スペース「さかいの台所」があります。ここではほかの場所では食べることのできない「幻の豚」を食べられるそうです! その名も「梅山豚(メイシャントン)」。「さかいの台所」の店長・高橋さんに、梅山豚についてお話を聞いてみました。
高橋さん「梅山豚は中国の原種の豚で、現在国内に100頭前後しかいないとても珍しい豚です。飼育が難しく、また飼育期間も通常の豚の倍と育てるのにとても手間がかかります。そのため梅山豚の肉は『日本一高い豚肉』と言われるほど貴重なんです」
そんなに貴重な豚肉が、なぜこの道の駅で食べられるのでしょうか?
高橋さん「梅山豚を育てている国内唯一の牧場『塚原牧場』が境町にある縁で、道の駅で梅山豚の肉・加工品の販売、飲食スペースでの梅山豚を使ったメニューの提供をしています。今回は人気メニューのひとつ、梅山豚のひき肉を使った『キーマカレー』をご紹介しましょう」
こちらが幻の超高級豚肉を使用した「梅山豚キーマカレー」。丸く盛られたご飯の周りにカレーが広がり、かわいらしいビジュアルですね。スプーンでカレーをすくってみると、ひき肉がたっぷり入っています。これが全部幻の梅山豚とは、とてもぜいたくです。
ひと口食べてみると、辛さは中辛ほどで心地よい刺激が広がります。コクの深さも特徴的ですね。これは梅山豚の脂がカレー全体に溶け込んでいるからでしょうか。さすが幻の豚肉というべき旨味とコクです。
高橋さん「キーマカレーはお土産用もあります。ほかにも梅山豚を使った餃子や肉まんなどの加工食品、真空パックになったバラやロースのお肉、生ハムやサルシッチャ(ソーセージ)も販売しているので、ぜひ幻の梅山豚のおいしさを体験してみてください」
「さかいの台所」では、梅山豚ではないですが、地元産の豚肉とネギがたっぷりのった「豚ねぎ蕎麦」も人気だそう。ピリ辛のつけ汁が食欲をそそり、豚肉の甘みとネギのシャキシャキ感が好評です。
使われている蕎麦は、地元産の蕎麦粉を使い手打ちされたもの。境町周辺では「蕎麦を打てないとお嫁にいけない」といわれていたほど、昔から各家庭で蕎麦が食べられてきました。
幻の豚・梅山豚だけではなく、地粉の手打ち蕎麦も楽しめるとあって、地元の人からも食事処として人気です。
さらに道の駅さかいでは、もう1つお腹と心を満たしてくれる施設があります。それが2016年3月にオープンした「サイクリスト応援カフェ CORG’S(コーグス)」です。
道の駅のすぐ隣を流れる利根川の河岸には、「利根・渡良瀬サイクリングコース」があります。その休憩場所、中継地点として、サイクリストのためのメニューやドリンクを提供する店としてオープンしました。
アメリカンヴィンテージをテーマに作られた店は、キャンピングカー風のカウンター、カラフルなテーブルと椅子、サーフボードを使用したベンチなどポップな造りになっています。
境町の名産品を使ったメニューも提供しており、オリジナルホットドッグのソーセージには、さしま茶が練りこまれています。また季節によっては、境町産の野菜を使ったスムージーもメニューに並ぶそうです。
またシャワー設備もあるので、夏場のサイクリングで汗をかいてもリフレッシュできますね。更に年会費を払って会員登録すれば、一流メーカーのロードバイクもレンタル可能で、現地に手ぶらで来ても気軽にサイクリンングを楽しむことができます。CORG’Sを利用すれば、道の駅を起点にした楽しい休日が過ごせそうです。
最後に今後の道の駅さかいについて、大山さんにお話を聞いてみました。
大山さん「道の駅さかいは圏央道・境古河ICの近くに位置しています。現在圏央道は、この境古河までつながっており、2月26日に茨城県内が全線開通となります。そうなれば、神奈川や千葉からもスムーズに境町にお越しいただけます。道の駅では、年間を通してイベントも多く開催していて、3月12日には『マグロ解体ショーと醤油生絞り体験』を同時開催します。そして5月には『新茶祭り』も開催予定です。ここでしか食べられないもの、体験できないことをこれからも発信していきますので、ぜひ道の駅さかいにお越しください」
圏央道開通を祝うノボリやポスターが道の駅にもありました。
道の駅さかいでは、利根川の河川敷にある「さかいリバーサイドパーク」で楽しめる「セグウェイ」によるドライブツアーや、アメリカンスタイルのバーベキューの予約も受け付けています。まもなく訪れる春の暖かい散歩日和の週末に、ぜひ予約してみてはいかがでしょう?
伝統を重んじた蔵造りの建物に、境町の魅力が凝縮された道の駅さかい。便利になった圏央道を利用すれば、都内から1時間程度とアクセスも抜群です。開通後にはぜひ訪れたいスポットです!
施設情報
●道の駅さかい
住所:茨城県猿島郡境町1341-1
営業時間:9:00〜18:00
※CORG’S 11:00~21:00(L.O.20:30)※夏季営業時間の変更あり
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。
関連記事
土地の魅力が凝縮! 全国「道の駅」めぐりの旅 富士山観光の拠点には「道の駅富士吉田」が最適!
土地の魅力が凝縮! 全国「道の駅」めぐりの旅 「道の駅もてぎ」では全国NO.1の道の駅グルメとSLが楽しめる!
土地の魅力が凝縮! 全国「道の駅」めぐりの旅 会津の「おいしい」が詰まった「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」