島酒泡盛 ほろよい紀行:樽熟成と、薬草入りハブ酒に出会う―石垣島 八重泉酒造

2018年4月 6日 19:32
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しょっちゅう訪れる、酒席で次のお酒を選ぶシーン。ビールの後、「今日はハイボールやレモンサワー以外のものを飲もうかな」と思っても、どれを選べばいいかわからず、結局ハイボールかレモンサワーを注文してしまうことはありませんか?

沖縄の島々には、47もの泡盛酒造所があります。

泡盛の味を覚えて「これとこれが好き」と贔屓の銘柄を頼んだり、「今日はこれ」と気分に合わせて選んだり、「これ美味しいよ」と人におすすめできたら、楽しい酒席がもっと楽しくなるかもしれません。

そこでおきコレでは、ひとつひとつの酒造所に足を運んでみることにしました。

教養が育つ工場見学や、無料の試飲。そして、行った人しか買えない限定銘柄――楽しみの多い、泡盛探訪。

今回ご紹介するのは、石垣島の八重泉酒造(やえせんしゅぞう)です。

市街地からバンナ岳にそって坂をぐんぐん登ると、小高い丘の上に、立派な工場が見えます。

振り返ると最高の見晴らし。八重泉酒造の泡盛づくりは、ホノルルやマイアミと同じ緯度にある、空気がキレイな石垣島の、山裾のおいしい水が出るところで行われています。

エメラルドグリーンの海と八重山の島々を一望できる、思わず深呼吸したくなる場所です。

ひろびろとしたショップに、さまざまな銘柄がずらり。

泡盛の豆知識が満載のDVDを視聴できます。泡盛は、ウィスキーやブランデーよりも古くからつくられている日本最古の蒸留酒なのだとか。

泡盛をつくる黒麹菌は、世界中で泡盛だけに使われていることから「アスペルギウスアワモリ」という学名がついているそう。

紀元前300年ごろのメソポタミア文明にはじまり、中国やタイを経て琉球にもたらされ、その後、九州地方に伝わって焼酎がつくられるようになったとか。

焼酎よりも、前にあったんですね。タイを経由して渡来したから原料がタイ米なのでしょうか。泡盛がいかに、沖縄ならではのユニークでオリジナルな存在かが伝わってきます。独特の風味は、暑い暑い沖縄の気候の中、雑菌を打ち負かす黒麹菌の生命力の証なのですね。

八重泉がつくるお酒のお話、取締役の座喜味盛行さんにお話をうかがいました。

味の特徴は、ほんのりとした甘みです。「甘みがほんのりと出ている商品が多いこと。お客様に褒めていただいている部分のひとつです」。

ポイントは、3つ。麹づくり、もろみの管理、蒸留です。

「『甘みが出るお酒をつくりたい』と長年の試行錯誤し、こういうときにはこうしたほうがいい、という勘所を身につけてきた中から、味ができています」。

麹を育てる時間の長さや蒸留時の火の入れ方などを、温度湿度、天気によって微調整しています。

麹は生き物なので、365日まったく同じようにつくるのは難しい。「八重泉のお酒が好きで毎日飲んでくださっている方から『今回のはよかった』『甘みが足りなかった』と直接お声をいただきます」。

八重泉酒造では、原料米3トン単位で仕込みを行い、およそ2週間1売り切っているそう。一度きりの1ロット。味を整える匠の技が八重泉ならではの「甘み」を支えています。

「中でも、蒸留するときにかける圧は味に影響します」。もろみを加熱するとき、常圧だと約100℃、減圧だと約50℃で沸騰します。減圧蒸留では、水やその他の栄養分の気化を待たず、アルコール分だけが先に飛ぶため、ふわっとした軽い飲み口の泡盛に。常圧蒸留では、その他の栄養分も気化するので、重くハードな味に。

「常圧蒸留と減圧蒸留をブレンドして、いいとこどりしています」。

常圧蒸留は昔ながらの直釜製法を守っています。直釜製法とは、大きな鍋状の釜に直に火を当て、温度が上がるのを見計らって蓋をして蒸気を取る蒸留方法のこと。

「機械を持っていないので、昔ながらの半手作業です」。4つある釜を、ひと釜ずつ調整しながら進むお仕事。蒸留の工程が始まると、3日間ほど朝から夕まで、つきっきりになるそうです。

「蒸留したてはアルコール度数が70度以上あって、なかなか飲めるお酒ではありません」。

ここから、最後の味の決めてとなる熟成が始まります。

八重泉のラインナップで特徴的な「樽仕込み」は、座喜味さんのお父様にあたります現社長が30年ほど前に始めました。

「同じ蒸留酒の仲間であるウィスキーやブランデーは、樽で熟成させることで味づけ、香りづけされ、世界的に認知されている。それならば泡盛りも、と、洋酒の中古樽をヨーロッパから買ってきて導入しました」。

やってみると、樽の具合で色や香りがつく速さが全く違ったので、後からブレンドすることに。高級志向のお酒として嗜まれ、最近ではハイボールブームで再度注目されてきたそうです。

この樽熟成も含めてさまざまな銘柄がある八重泉。ぴったりの1本を、どうやって選べばいいのでしょうか?

「初めての方は25度の泡盛と樽熟成を。水で薄めたり、カクテル風にジュースで割ったりしやすいです。 地元の人は30度。これが一番売れています。お酒が好きな上級者には、43度の黒真珠と樽貯蔵をおすすめしています」。

また、2016年発売の「八重泉バレル」は、ほぼ泡盛ですが、泡盛ではなくリキュールとして世に出ました。泡盛として売るとなると、茶色すぎてはいけないのだそう。「樽から出したそのままを商品化できないかということで、少し糖分を加えてリキュールとして販売することにしました」。

本当にウィスキーみたい、と評判は上々。度数は40度。「イベントで、炭酸で割った『八重泉ハイボール』を出したところ、お酒の味がしっかりしていておいしい、と高い評価をいただきました」。

工場の中では、1980年代ものの古酒が日々刻々と時を重ね、熟成されています。が、これはいつどんなふうに商品にするかまったくの未定とのこと。「最近では、2年前ぐらいに味見程度で飲みましたが、とろっとした感じで飲みやすく美味しかったですよ」。まさに秘蔵です。

新宿・伊勢丹や大阪・阪神百貨店の物産展では、2008年に仕込んだ古酒を限定で。

5年古酒の「みやらび」は工場限定の商品。

ラインナップには、初代が考案したというハブ酒も。

「イベントでハブコークを出したところ、『初めて飲んだけどおいしいね』とおかわりしてくださった方もいましたよ」。

試飲コーナーで、飲み比べが楽しめます。

ウィスキーみたいな八重泉バレルや樽熟成の八重泉、自然の薬草等を一緒に仕込んだハブ酒と、個性的な泡盛がたくさん。

帰りは運転しなくていいように、ハンドルキーパー付きで行くか、代行を手配しておくとベターかも。お土産に買った泡盛で、ソーダ水やコーク割を試してみるのもよいかもしれません。

■八重泉酒造
住所: 沖縄県石垣市字石垣1834番地
電話番号: 0980-83-8000 
営業時間: 9:00~16:00
定休日: 土曜 日曜
駐車場: あり
ホームページ: http://www.yaesen.com/

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