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はだしのゲン作者が描いた熱すぎるカープファン狂騒史 「それー審判をみな殺しじゃ」

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.03.31 15:28
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「はだしのゲン」の作者として知られ、2012年に73歳で死去した中沢啓治さんの漫画「広島カープ誕生物語」が、2014年3月28日に垣内出版から復刊した。価格は1600円+税。

熱狂的なカープファンだった中沢さんが1994年に書き下ろした作品で、絶版となっていたが、2014年のプロ野球開幕に合わせて再発売されることに。

広島カープの草創期から1975年のリーグ初制覇までがファン目線で描かれている。原爆で孤児となった野球好きの大地進が主人公で、進を養子に引き取った豆腐屋の太田伝造、その娘の光子、そして進の友人たちを中心にストーリーは展開していく。

以上は作者の創作したキャラクターだが、野球選手等は実在の人物で、カープの歩んだ苦難の歴史がリアルに盛り込まれている。

広島カープナイン(Ryosuke Yagiさん撮影)
DSC_0941

戦前は野球王国だった広島。しかし、原爆で全てが破壊されてしまう。市民はたくましく生き、1950年に球団が誕生するが、市民が同情するほどカープは貧乏球団だった。ファンの支えで解散・身売りの危機を乗り切るも、Bクラスが定位置という時代が長く続く。

「カープにほれこむのは因果なことよのう」

と、進がお好み焼き屋でつぶやくカットは印象的だ。

発足当初、選手全員のユニフォームが揃えられなかったこと、合宿所に風呂がないので選手は一つの水道に並んで体を洗ったこと、樽募金や後援会で危機を乗り切ったことなど、カープファンならずとも心揺さぶられる。

登場人物のセリフはほぼ広島弁だ。女性3人組テクノポップユニットPerfumeのあ~ちゃん(西脇綾香)の口調よりも格段にきつい方言で、観客のヤジは迫力がある。暴徒化したファンが「審判を殺せ!」「それー審判をみな殺しじゃ」などと叫びながら約3000人がグラウンドに乱入して審判団を襲うシーンも。ファウルとホームランの境に立っているポールを引っこ抜き、それを用いて審判団が避難した部屋のドアを壊そうとする――赤穂浪士47士が吉良上野介の屋敷を襲撃したときのシーンみたいだ(実話に基づいているらしい)。

進と光子はめでたく結ばれ、カープ初優勝の年に披露宴を挙げる。最初は野球嫌いだった光子も一緒になってカープの歌をうたう。野球だけでなく2人の恋愛模様も描かれ、最後まで飽きさせない展開となっている。

1991年中国放送(RCC)「ひと一倍カープを愛す」山本浩二氏と対談した内容も抜粋で活字収録されている。

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